kengoloidの半生記 1993|原宿「もうひとりのスタッフとオープン前夜」 【 もうひとりのスタッフ 】 原宿店の内装工事が進む中、渋谷店では、わたしと同じように頻繁に顔を出している人がいました。 彼はパリから帰って来たばかりのスタイリストの卵だそうで、ひとつ歳上の先輩です。キャスケットをかぶり、ブルーのレザージャケットをよく着ていました。 普段の彼は、わたしの周囲にいる欧米系のカジュアルスタ... タカハシ
kengoloidの半生記 1993|渋谷「平穏な日々、将棋ブームや強盗騒ぎなど」 【 心地の良いお店 】 原宿店オープンまで、あと1か月ほどになりました。 着々と準備が進んでいく中、わたしは渋谷店に出入りする時間も多くなってきました。 内装もまだ完成していないし、商品の入荷もこれからだったので、特に仕事としてやることはありません。 やるとすれば、一階の階段裏にあった小さな倉庫の整理をしたり、店で売れ... タカハシ
kengoloidの半生記 1993|渋谷・中目黒「大宴会と大学教授」 【 最初の事務所 】 渋谷店はファイヤー通り沿いの雑居ビルの2階にあって、左手には消防署、正面には渋谷公会堂まで続く坂が臨めます。 その坂の途中にあるビルの中に、事務所がありました。 そこには社長や経理の人がいて、さらにオリジナルの生産を担当してくれている先輩、並行輸入をしている先輩の会社も、同じフロアをシェアしていま... タカハシ
kengoloidの半生記 1993|原宿・渋谷「路地裏の未来、渋谷店の空気」 【 原宿にある駐車場 】 ある日、社長から「新しいお店の物件を見に行くけど、一緒に来る?」と誘いがありました。 もちろん、新しい職場になる場所だったので、ふたつ返事で一緒に行くことにしました。 原宿店の予定地は、竹下通りから明治通りを渡り、100メートルほど入った場所でした。 左手にあるビルの脇道を曲がり、路地を数メー... タカハシ
kengoloidの半生記 1993|渋谷「5坪の店、海外雑誌、そして旅立ち」 【 5坪の店 】 小さなセレクトショップから誘いを受けてから、わたしは休憩時間になると、その店へ足を運ぶようになりました。 それは、人気だったラルフローレンのビッグポロや、インセインといったブランドが一段落した頃です。 その代わり、とあるドメスティックブランドが一部の間で人気を集めていました。 このブランドは後に大化け... タカハシ
kengoloidの半生記 1993|代官山・渋谷「レセプションの夜、原宿への誘い」 【 レセプション 】 ある日、小さなセレクトショップの社長が、お店に買い物に来てくれました。 そして帰り際、「今晩、代官山のブランドでレセプションがあるんだけど、一緒に行かない?」と声をかけてくれました。 それは、フランスのデザイナーズブランドで、もともとはレディースからスタートし、ミニマルなデザインで人気を集めていま... タカハシ
kengoloidの半生記 1992-1993|渋谷「新入社員と、ふたつの選択」 【 新入社員 】 翌年4月の入社を前に、大卒予定の新入社員がインターンとしてお店にやって来ました。 これまでセレクトショップで働くということは、中卒や高卒で、肉体労働やコックを目指すように、ファッションを目指して若い頃から入るケースか、もしくは、わたしのようにアルバイトから本業にスイッチする人がほとんどで、共通している... タカハシ
kengoloidの半生記 1992-1993|渋谷「固まる絆、気になるウェスタンテイスト」 【 大家族みたいなお店 】 渋谷の店には、いつの間にか後輩のアルバイトが増えていました。 気がつけば、店で過ごす時間が、以前よりもずっと居心地のいいものになっています。 もともと大所帯の店だったこともあって、季節の終わりには社員の異動に伴う壮行会が開かれたり、また、スタッフだけのささやかなクリスマス会が店内で開かれるこ... タカハシ
kengoloidの半生記 1992-1993|渋谷「クロージングと、カジュアルと」 【 部長さんから靴をもらう 】 渋谷のお店に立つようになって、まもなく2年が経とうとしていました。 時々お店を視察に来る社員や上の立場の人達も、元気のいいわたし達アルバイトを面白がってくれて、可愛がってくれるようになりました。 ある日、部長さんが、体の大きいわたしに、「昔履いていた靴をあげるから、本社に取りにおいで」と... タカハシ
kengoloidの半生記 1992-1993|渋谷「ファッションの熱病と、若き勘違い」 【 ファッションの熱病 】 相変わらず、日中は洋服屋で働き、夜はクラブ通いに忙しい毎日でした。 この頃になると、格好もすっかりアパレル人らしくなっていて、ある意味、好きなものに囲まれながら、自分の理想とするファッションを目指していられた時期でもあります。 業界人が知るブランドやアイテムは、お互いを認識出来る“サイン”の... タカハシ